未経験で飛び込んだ仕事は、「ありがとう」にあふれる職場でした。

まったくの未経験から介護の世界に飛び込み、現在2ヶ月目の星川さん。事務職として約10年の経験をしてきた星川さんが、次のキャリアとして介護職を選んだ理由や今感じている率直な感想、大変なところや楽しいことなどを伺いました。

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目次

「転職して良かった」と、本気で思える仕事です。

未経験から介護の仕事を目指された理由を教えてください。

認知症の方と接する機会があったことや、介護士として働いている友人たち全員が「やりがいのある仕事だよ」とイキイキと話しながら活躍しているのをみて、介護という仕事に興味を持ちました。そこでまず、介護のことを学ぶために、介護福祉士実務者研修の資格取得を目指す学校に半年通うことにしたのです。学校では年配の方など幅広い年齢の方が学ばれているのが、印象的でした。カリキュラムは基本的に座学で、ときおり生徒同士で現場を疑似体験するような研修もありましたね。学校での学びはためになりましたが、一方で「実際にやってみないと、わからないことは多いだろうなあ」とも感じました。

そこで、現場を知るためにも思い切って飛び込むことにしたのです。介護はまったくの未経験でしたが、「働くなら、人に喜ばれることをしたい」「長期的にキャリアを積み、じっくりと働きたい」と考えていたので、躊躇はあまりありませんでしたね。むしろ、もともと人と関わることと新しいことにチャレンジするのが好きなので、期待の方が大きかったです。

未経験からのスタートで、最初のころに苦労を感じたことはなんでしょうか?

入居者様の名前やその方に合わせた作法を覚えたり、介助の仕方もわからなかったりしたので、最初は何から何まで大変に感じました。ただ、先輩たちが「あの入居者様はこういう対応が好まれるよ」「車いすからベッドの移動は、こうするとうまいくよ」と優しく丁寧に教えてくれたことで、徐々に上達していきましたね。たとえば、昨日は穏やかに接してくださっていた入居者様が、次の日なぜか急に機嫌が悪いというケースがあったとき戸惑って先輩に相談すると、「私ならこうするよ」と的確な答えが返ってきます。それをお手本にしながら、自分なりに考えて接するようにしていますね。

やりがいを感じるのは、どんなときでしょうか?

日常的に「ありがとう」があふれていて、毎日が楽しくやりがいがあります。たとえば「ご飯を配膳する」「トイレに誘導する」といった、何気ない普段の業務に対して感謝の声をいただけるのは、これまでの仕事では経験できなかったことです。また、レクリエーションを楽しんでおられる入居者様を見ていると、私も嬉しい気持ちになりますね。先日もみんなで合唱する会があったのですが、職員が奏でるピアノに合わせて気持ち良さそうに歌っておられる入居者様の姿をみて、「良い仕事に転職したな」と感じました。

経験を積むことで喜びの数も増えていく。奥深い介護の世界。

入社後2ヶ月が経ち、「成長したな」と実感される点はありますか?

まだまだわかっていないことだらけですし、勉強の日々ですが最初のころと比較すると「どうやってコミュニケーションをとったら良いかわからない」という状態からは抜け出せたなという実感があります。また、ちょっと難しいケースにも徐々に対応できるようになってきました。たとえば毎回のように食べ物を奨めてくれる入居者様に対して、「ありがたいですが、勤務中なので」とやんわりお断りをすると、ご機嫌を損ねてしまうケースがあります。最初のころは困るだけでしたが、今は「私なら一旦受け取っておいて、あとから元に戻すよ」という先輩のアドバイスを受けながら、自分なりの方法を模索して答えを出せるようになりました。

あと、まだまだ不得手なのがベッドから車いすに移動してもらう介助の方法ですね。先輩が横に付いて、「車いすを先にここに置いておくとスムーズだよ」と、コツなどをレクチャーしてくれるのですが難しいと感じます。自分や入居者様の体形、症状などによってやり方はそれぞれ違うので、経験値を積んで上達したいですね。やはりベテランの先輩の技術は勉強になります。また、YouTubeに上がっている介助テクニックの動画を観て参考にしていますね。

嬉しいと思ったエピソードと、日頃心がけておられることを教えてください。

たとえばお風呂の介助は服を着ながら行なうので、暑くて汗を流しながら行なっているのですが、入居者様の「気持ち良いよ」の声と爽快そうな表情を見ると癒されますね。暑さに関しては、周りの先輩たちを見ると余裕を持って涼しげな顔で介助をされているので、これから経験を積むことで徐々に変わっていくと思います。介護の仕事全般に言えることなのですが、現場を知らない方から見ると「すぐにできそう」と思われるかも知れませんが、たとえばお風呂の介助ひとつとっても「肘の使い方や姿勢」などに技術が必要です。私も技術を磨いて、先輩たちのように余裕を持って介助ができるようになりたいですね。介護職はスキルアップすればできることが増え、喜んでいただく機会も多くなるので頑張りがいがある仕事です。

あと、日頃から大切にしていることは「丁寧な声かけ」ですね。この先、仕事に慣れていっても言葉遣いが変わったりすることがないように、そこは自分の中で守っていきたいポイントです。

これまでの仕事と比べて、転職後どのように感じておられますか?

前職はデスクワークだったので、今の仕事で「こんなに汗をかくんだ」という新しい発見がありました(笑)。介護は基本的なルールを守った上で、対人間同士なので解答はひとつではなく一人ひとりに適した応用が求められます。試行錯誤を繰り返すところに、この仕事の奥深さを感じますね。

気軽に相談できるから、仕事も着実に覚えられる環境。

入居者様とは、どんなお話をされるのでしょうか?

「おいくつなんですか?」といった世間話からスタートし、他愛のない話をしながらおしゃべりを楽しむ時間はほっこりしますね。ときには、昔のことを教えてもらったり「富士山に2回登ったことがあるよ」「戦争のころはこうだった」という実体験を語っていただいたりすることもあるので、とても興味深いです。人生の大ベテランから学ぶことは多いですね。あと、中には「こんなことをさせてごめんね」と謝る方がおられると、心が締め付けられるような気持ちになります。「そんなん思わんと、気にせんといて!」と伝えることで、気持ち良く生活をしていただけるお手伝いになればと思いますね。

職場について感じている率直な感想を教えてください。

本音を言うと転職する前は「介護職はやりがいは大きいだろうけど、人間関係がしんどそう」という勝手なイメージがありました。ところがいざ入社してみると、柔和な先輩たちばかりで向こうから話しかけてくれる職場でした。「仕事はゆっくりと、着実に覚えていけば良いからね」と優しい言葉をかけてくれます。これまでの職場と比べても段違いに優しい風土なので、わからないことなどがあってもすぐに聞きやすい環境です。

そして介護職を始めてから気づいたのですが、これまでの仕事は失敗しても「自分が怒られるだけ」でしたが介護はミスが怪我などにつながるため責任重大です。だからこそ、「焦ることないよ」という先輩の言葉が心に沁みますね。研修期間は約3ヶ月で、まずはトイレの介助や掃除といった業務を担当。チェックリストでオールAをとってから、完全にひとり立ちになります。入居者様によって「入浴介助が難しい」ケースなどは、その都度先輩がフォローしてくれる体制です。

最後に、今後の目標を教えてください。

まずは技術を磨き続けて実務を3年頑張り、介護福祉士の受験資格を得てから国家資格を取得したいと考えています。その後はメディエイトでずっと力を発揮できるように、社内で上の役職を目指したいですね。腰を据えて働きたいと思っています。